Culture 文化芸術全般

cul-58

書籍:日本の美と教養3 日本の色彩
著者:上村六郎 発行:河原書店 発行年:1965年(昭和40) サイズ: 18.8 x 13.4 x 1.8cm 頁: P.196
状態: A 良い ハードカバー。全体的に経年変化の汚れや傷みが少しあるが特筆するようなものはなく、概ね美本
¥2,400 (税込)

本書名は「日本の色彩」だが、もちろん日本にだけある色という意味ではない。
では「日本の色彩」どういうことかというと、一つは日本の人たちが広く一般に好んで用いる色、二つ目は色の用い方。例えば色をぼかすことで、着物の染色の「裾濃」や「斑濃(むらご)」「辻が花染」「鹿の子絞り」など。 三つ目は、色の取り合わせ方。日本人が好む配色があるということだ。

日本では古くから紺(藍染の色)と茶が好まれてきたそうだ。茶色のことについて少し本文から抜粋したい。

「...飛鳥・天平の時代に、中国の染色文化を取り入れて、それによって朝臣の服の色なども定めたのであるが、その中には、中国で用いなかった茶色の服色はなかったのである。しかし、どうしても茶色なしでは満足できなかった日本では、 天平時代に至るまでに、中国でやらなかった茶色の染色を自ら考えだして、ここに『柴(ふし)』と称する、日本独自の黒茶色の服を用い出したのである。そしてやがて平安時代に入ると...神様の色と天子の服の色とは白であった日本が、 特に黄櫓染(こうろせん)と称する赤味の茶色の服色を染め出して、遂に今日に到るまで、これを天子の御服ときめてしまっている。その後、お茶が流行してくると同時に、茶人の間に『わび』とか『さび』とかいうことがいいはやされ、それに呼応して、新しく盛んに使われ出した色が、やはり茶色であった。」

こういった好まれる色の傾向は、もちろんどの国にもあり、例えばインドは赤と白らしい。

著者・上村六郎は京都帝国大学で染色学を学んだのち、日本の古代染織や万葉集などの文学に登場する色名、草木染の研究をし、また正倉院御物裂の調査も担当した人。
仏教の経典から五臓六腑にそれぞれ色が配されていることが書かれていたり、パールバックの小説「大地」から風習の中の色のことが引かれていたり、幅広い角度から色を学べる。