Art history 美術史、Art theory 芸術理論 美術理論

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書籍: 南都逍遥
著者:安藤更生
発行:中央公論美術出版 発行年:1970(昭和45)年
サイズ:19.2 x 15.5 x 1.8cm 頁:P.208
状態:AA 良好 帯・ビニールカバー付
価格:¥2,200 (税込)

本書の帯より

奈良古美術随想
深い学殖と鋭い洞察、豊かな筆による、美の遺産への著者の追憶であり、敬慕である。
法華寺/春日山の石仏/東大寺/お水取り拝観記/奈良の町の裸体彫刻/唐招提寺開山堂跡/鑑真和上の書状について/柳生の運慶/法隆寺へ/涅槃像の足/二つの弥勒/奈良の美人/會津八一の歌碑

本書には「国宝修理譚」の章があり、江戸時代の修理態度について一定の評価をする一方で、明治から昭和の修理の一部について苦言を呈している。
例えば、薬師寺の本堂にはもと南側正面いっぱいに鎌倉時代の裳層がついていたそうで、それを修理の際に全て取払ってしまった、と。
当時の関係者が「これですっきりしました」との言葉に、

ー 何に対して「すっきりした」のだらう。後世の補加を除去しろといふのは、当時の幼稚な天平至上主義がさうさせたので、鎌倉には鎌倉の美しさもあれば史的価値もあるはずだ。ー

また、法隆寺金堂の焼失後の修理再建に際しては、各委員間に異論が生じて収集がつかなくなり、復元案が棚上げされて、仮に鬼瓦にしておき他日結論が出たときにやり直そうというものだったそうで、その鬼瓦の屋根について

ー 今のやうな、床屋へ行きたての中学生の頭みたいなものになったのださうだ。この辺りいかにも小役人の考えさうな責任逃れの便法で。。。(略) だから僕はこの頃法隆寺へ行っても、金堂の屋根は見ないやうにしているのだ。流行の古美術解説屋などが、あの写真を平気で載せたり、ペラペラと下らない賛辞を述べ立てるのを見ると胸糞わるくなる。

豊富な知識と揺るぎない確信がないとできないであろう、この歯に衣着せぬ物言いから、どんな人物だったのかと著者の人となりにも興味がわく。
もともと本書は、門下生によって計画された著者の古稀の賀に間に合うように出版が進められていたそうだが、残念ながら著者は完成を見ずに他界している。