Ceramic 陶磁
c-46
書籍: 焱に生きる
著者: 辻晴明 発行:日本経済新聞社 発行日:1996年
サイズ:21.7 x 15.5 x 2.5cm 頁: P.189
状態:AA 良好 ハードカバー、帯付、帯に2.5cm程度の縦の切れあり。そのほかは美本
価格:¥3,000(税込)
本書は、陶芸家・辻晴明の自伝書で、日本経済新聞朝刊文化面の「私の履歴書」で30回にわたって連載したものに加筆してまとめたもの。
まずは父のことから始まる。そして、3、4歳の頃、世界恐慌に父の会社経営が巻き込まれて、世田谷のお屋敷町での「金持ちのお坊ちゃんの暮らし」に終止符が打たれようとしていた、という少年時代を読むと、次の展開へ興味が湧く。
期待は裏切らない。
若き日の戦争中の岩手県での山の生活。塩がなくなると、近所の人の指導で焼いた炭を担いで10キロの山道を歩き、塩と交換したこと、防空壕掘りで貯めたお金で家を立てようと大工に頼むと自分も山の奥まで連れていかれ、
生きた立ち木にこれは柱、あっちは梁と印をつけて木を切り倒し、数年間木を寝かせることを知ったこと、生活を支えるためにもやる気になって開催した初個展は北海道で、作品を背負い、鈍行の三等列車を乗り継いで行ったこと。
富本憲吉や板谷波山、阿部公房などとの交流、土との向き合い方、還暦を過ぎてからの大試練となった火事からの再起など、葛藤や波乱が満載である。
現代日本への危惧、今後の生き方についても最後に書かれている。少し抜粋したい。
「何かと言えば、お金に換算してしまうのも戦後最大の悪弊の一つである。確かに価値をはかる尺度として貨幣は便利であるが、便利さは真実を意味しない。便利さに媚びるあまりに、
本来の価値を失うのは本末転倒である。」
